狐は疑い思考は巡る そしていつだって立ち止まる 俺だってさ、ずっと前から旦那のこといい男だなーって思ってたの。 小さい頃はずっと守ってやりたくなるくらい可愛かったしさ、初陣についてった時なんか、この人の影で一生ついていきたいって思ったしさ。契約とか主従だとかそんなの関係なしに旦那のことが好きなの! でも何だかんだいってもやっぱり俺って忍でしょ?お仕事もあるし、ちゃんとお給料ももらってる訳だし、その分はちゃんと働かないといけないじゃん。だから、その妨げになるくらいなら俺の中だけにこの想いはあればいいって思ってたの。 でもさ、随分前の戦で独眼竜が旦那の前に現れてからというもの、旦那ってば戦の度に政宗殿、政宗殿!ってそればっかり! 独眼竜なんて戦がなくてもしょっちゅう甲斐にふらふらと!あれは絶対旦那に気があるよね! 旦那の方はまだ全っ然好敵手としか思ってないだろうけどさ、旦那純情だから、そのうち好敵手に会った時のどきどきわくわくを何かと勘違いしちゃってそのまま恋慕になっちゃうかもしれないじゃん! そんなことになっちゃったらもう俺どうしたらいいんだろう。 気付いてもらえない寂しさには耐えれるけど、仲良ししてる2人を温かく見守るなんて無理不可能!! 今だって旦那にちょっかいかける独眼竜見たら殺したくなるのに。 どうしようかなぁ…もういっそ旦那に言っちゃおうか。そしたらこんなことでうだうだ悩む必要もなくなる訳だし。 でもそれで旦那に気い遣わせることになったとしたらさ、旦那ホントに不器用だから空気ぎくしゃくしちゃうじゃん絶対。そんなのもっと嫌なの。 あーあ。いっそ独眼竜みたく旦那に好き好き気付いて!ってやってみようか…でもそれで成功してもなんか癪だよなあ。むかつく。また独眼竜に殺意湧いちゃうよ。 んー、いっそのこと独眼竜を殺しちゃってもいーんだけどさ、そしたら旦那がすっごく悲しむでしょ? 確かに旦那には俺だけを見てて欲しいけどさ、そんな顔させたい訳ではないんだよねー。 しかもさ、もし俺の想いが届いて2人仲良くできるとしてもさ、それが戦の足枷にならないとは限らないじゃんか?そうなっちゃうと何て言うか本末転倒だと思わない? そんで旦那が死ぬようなことはあっちゃいけないって思うの。そんなことになったら俺生きていけないし。 あーそう考えるとやっぱり言わない方がいいのかな?俺の中だけで留めといた方がいいのかな? でもそれで旦那と独眼竜が仲睦まじくなっちゃうのは俺許せないんだけど! ねー慶次!俺どうすればいいと思う? (………そこまで考えても結論出てねーのに、俺なんて言えばいいの?) つまるところはただの愚痴 とにかく話を聞いてもらいたい佐助 |