ショウセツ


□ある夏の日の夢
4ページ/10ページ

自然と恋人繋ぎをした私たち。
彼の親指は緩やかに私の親指の爪を撫でていた。

それが指相撲をしているように思えて、少し笑えた。




手を繋いでからは会話が更に減った。

私は安心仕切って寝てしまいそうだったので、会話が無いのは逆に嬉しかった。
緩やかに暖かく、時間は流れていった。



「胸おっきいよねー。
さっきシートベルトを付けるときに胸が当たったんだ。」
「でもその分お腹もおっきいんですよー」
「えー、細いじゃん。スタイルいいし、お洒落だし」


そう言うと彼は私のお腹をふにふにと触ってきた。
「ほら、全然細いじゃん。
俺の方がヤバいで」

そう言いながら、私たちはお腹の触りあいをした。
「なんか恥ずかしいー。
頑張って引っ込めます」

そんな会話をしながら少しだけはしゃいだ。



「でも本当に胸おっきいよね。
良かったらベストのボタン開けてよ」
「えー」
私はそう言いつつもベストのボタンを外した。
別に減るものじゃないので、ちょっとしたサービスをしただけだ。



「やっぱりおっきいね」
彼が胸について語った。

やっぱり考えることが男性的だなと、少し感心した。




「ねえ、どこか公園にでも車をとめてゆっくり話さない?」

彼の提案を私は了承した。
ただ単純に彼ともっと話たかったのだ。



彼はしばらく適当に車を運転し、人気の無い駐車場に車をとめた。




彼は自身のシートベルトを外し、私のシートベルトも外してくれた。
そして話しをし易いように、車内に流れている洋楽の音量を小さくした。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ