グリーンガーデン

□ボンゴレは危険がいっぱい
2ページ/5ページ


 
「あ、はい、そうです。沢田の綱吉です」
少年、沢田綱吉はあわてて伯母に頭を下げた。
「まあまあ、すっかり大きくなって。さ、座って。遠くからで疲れたでしょう?」
伯母は手招きをすると、ツナをカウンターへ座らせた。
さり気なく周りの客席に視線を走らせたが、もう先ほどのようにツナに注意を払う者はいなかった。
(何だったのだろう……)
釈然としないままだが、気を取り直すと
「あの、伯父さんのケガって、どうなんですか?」
ツナはカウンターの中で料理を作り始めた伯母に聞いた。
「ああ、大したことはないんだけどね。先月の台風の時に屋根が壊れて、修理で登ったのはいいけど足滑らせて、骨折しちゃったのよ。腰もしこたま打っちゃったし」
けらけらと明るく笑う伯母に深刻さは微塵もない。ツナはこの伯母の明るさで店も伯父も、そして客も元気づけられているのだろうと思った。

「あ、いらっしゃい」
ツナが伯母から出された熱々のポテトピザをくわえると、ドアが開いて呼び鈴が揺れた。

 
 
ドアを開けた主を見た店の客達は、凍ったように一瞬静けさに包まれたが、たちまち波紋のようにざわめきが広がった。

「あら雲雀さん、今日はもう上がりなの?」
「ええ」
雲雀と呼ばれたビショップ(司教)は静かに空いているテーブルにつくと小さく吐息をついた。
「今日は何を?」
ツナの伯母がカウンター越しに聞くと
「いつもの」
と物憂げにつぶやくと厚い本を取り出した。



「ツナちゃん、悪いけどあの司教様に運んで貰える?」
ツナがお替わりした二杯目の野菜スープを飲み干したところで、伯母に声をかけられた。
「あ、はい! すぐに」
自分がここに呼ばれた理由を思い出したツナは、あわてて立ち上がった。

「お、お待たせしました」
伯母から受け取ったポトフを、いささか危なっかしい手つきでテーブルまで運ぶと、開いた本に視線を落とす司教に愛想よく笑いかけた。
「そこに置いといて」
チラリと横目でツナの手元を一瞥しただけで、雲雀はすぐに視線を本へと戻した。

「はい」
言われるまま、緊張した面持ちでそっとテーブルの上に置いた。
「ご、ごゆっくりどうぞ」
ペコッと頭を下げたツナは小走りにカウンターへ戻った。
  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ