グリーンガーデン

□ボンゴレは危険がいっぱい
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「うわあ……さすがに広いや」
大きな城門をくぐると、目の前はにぎやかな人混みと林立する屋台だった。いささかくたびれたマントのフードから頭を出すと少年は、目を見張り辺りを見回した。お祭かと思われるくらいに居並ぶ露店。活気あふれる売り声に山盛りな品々。行き交う人々の群れ。油断していると流されてしまいそうだ。

ここはリボーン王国の首都ナミモリ。王国の中心地であり、経済も産業もすべてがここに集まる。

田舎の小さな村から出て来たばかりの少年には、何もかもが新鮮で珍しい風景だ。

「と、取りあえず伯父さん家探さないと」
初めて見る都会の喧騒に、しばらくの間飲まれたように動けず立ち止まっていた少年は、ようやくここへ来た目的を思い出した。

懐から折り畳まれた手紙と地図を取り出すと、少年は屋台の連なる通りから、一本二本と裏に入りレンガ造りの建物に刻まれた数字と照らし合わせながら、一歩一歩城下町の中へと入って行った。

 
「ここ……?」
少年が手紙に書かれた住所と、建物の横に吊り下がっている看板を見比べてそうつぶやいた。
木彫りの看板は『居酒屋ボンゴレ』とある。
少年はもう一度伯父から届いた手紙を広げた。店を始めたが、ケガをしてしまったから臨時に手伝って欲しい。それが内容だった。

「店って居酒屋だったのか……」
少年が遠慮がちに木のドアを開けると、ドアベルが小さく震えた。
中はランプの明かりが灯ってはいるが、まだ昼間なせいか窓からの明るさでぼんやりとかすむ。
テーブルを囲む客もそう多くはないが、少年がドアを開けたとたん、一斉に視線を向けた。

まるで値踏みするかのように突き刺さるその視線に、少年はわけもなく緊張した。

「いらっしゃい」
カウンターの中からこちらに明るい声がかかった。久し振りに見る、にこやかな伯母の顔だ。その声にホッとすると、酒場の客達の視線も『何だ』という顔になり少年への興味が急激に薄れていくのがわかった。

「どうぞ、空いている席に……あら、もしかしてツナちゃん?」
伯母がまだドア近くに立つ少年の姿に案内をしかけて気づいた。
  
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