グリーンガーデン

□並盛・大盛・出前一丁〜!
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『並盛・大盛・出前一丁〜!』


「今日の試合ってどことでしたっけ?」
青春学園テニス部のルーキーと呼ばれる一年生レギュラー、越前リョーマが先輩である三年の不二周助に聞いた。

「並盛中学だよ」
「……聞かない名前っスね」
「うん、僕らも初めて対戦する学校なんだ」
「弱小校だな」
データマンと呼ばれる青学一の情報男、不二と同じ三年の乾貞治が独自のノートを開いて言った。

並盛中テニス部からの練習試合を申し込まれ、珍しく部長の手塚が即決したのには、その『弱小』の肩書きのせいかもしれない。

「弱小では地区大会もままならないだろう、と言うのが手塚の弁だ」
「ああ、そうかもしれないね」
不二もうなずいた。
強い所と戦いたい、スポーツをする者なら誰でもそう思うだろう。

ただ、驚いたのは並盛側だ。申し込みはしたものの、てっきり断られるだろうと思っていた強豪青学との練習試合が実現したのだ。
これはもう、全校あげての祭り以外にない。

生徒会は元より、興奮した生徒達を仕切るために風紀委員会も警備に回されることになった。
 
「……なぜテニスの試合に風紀委員会が必要なんだい?」
生徒会室に呼ばれた風紀委員長の雲雀恭弥はいぶかしんだ。

「青学テニス部のレギュラーメンバーは、かなりなイケメン揃いなんだ。だから我が並盛中の女子生徒達が浮き足立って、秩序や道徳が乱れるかもしれない。そうなったら風紀委員長の力の見せ所じゃないか?」
生徒会長の言葉に雲雀の眉がかすかに上がった。

「……僕の学校に不貞な輩は入れさせない」
「いやいや、わざわざ練習に出向いてくれるんだから、入れてくれよ」
懇願するように生徒会長は、あわてて雲雀に言った。







「ねえ、ツナくん。明日のテニス部の練習試合見ていくでしょ?」
「テニス部?」
沢田綱吉が、笹川京子からその話を聞いたのは練習試合の前日のことだった。
「そうよ、並盛中テニス部の一大イベントなんだから、見ないと損だって」
京子の親友、黒川花も期待に満ちるように言う。

「昨日のHRでテニス部の人がクラスにいるから、全員で応援するって話になったんだけど…もしかしてツナくん聞いてない?」

「あ……う〜ん……」
京子の言葉に必死に思い出そうとするが、まったく何も記憶に引っ掛かって来ない。
どうやらその時間内は、完璧に居眠りをしていたようだ。

「10代目! 10代目が見るなら俺も行きます!」
「あ、うん……」
獄寺の意気込みに、取り繕うように沢田は笑った。
 
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