短編T

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「!!!!!」


飛び起きると同時に叫び声が聞こえた




………夢 か



「 、 、 、」



ベッドの上で体育座りをして頭を抱えて震える男の図はさぞ‘臆病者’とゆう題名が似合うだろう

頭どころか体中を突き破って飛び出しそうな‘何か’を押さえ込むのに必死な彼にはそれ所ではないのだが


( 、 、 )


目を開けられない


すぐ左、夢の中に充満していた“あれ"の気配が感じられる


勿論そんなものはいる筈ない

ある筈ない


目を開けて左を向けば壁があるだけだ


(   、………、)


けれど、いる気がしてしまう


吹き出した汗は服まで届き、
頭に至っては髪だけでは抑え切れない汗が体を起こすと同時に上半身に滑り落ちる


「………」


何とか落ち着いた

目を開け、左には間違いなく何もいない事を目で確認する


「………」


いない いないんだ


髪を掻き上げようとして気付く


右隣、剥き出しの左肩を上にして俺に背を向けて寝ている彼女


「……」


沸き起こる気持ちは二つ


“起こさなくてよかった"

“何で助けてくれなかった"



後者に関しては我ながらはた迷惑な理不尽だ

他人と夢を共有する事など出来ないし、



……誰も救えなかっただろう、きっと


「……」

栗色の髪をそっと撫でる

同じベッドの上なのに、彼女は汗をかいてない

首筋の桜模様が不自然な位に乾いている


むしろ自分の手汗が汚してしまった様な気になった


「…………」


寒くなってきた

まぁ2月の夜中に大汗をかいてれば当然だろう


そんな訳でシャワーを浴びるにも寒いし、その音で彼女を起こすのも気が引ける

ので、風呂場まで行って寝間着を洗濯機に投げ込み、あまり履いた記憶のない替えの寝間着を履き、タオルを一枚取って寝室へ戻る



洗面所の鏡に映った目つきの悪い男の顔を見て、さっき聞いた唸り声は自分の悲鳴だったのだと出し抜けに気付いた
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