ショートショート

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─巨躯のマンフ─

確か、背翼のタフラも見たらしいし、腹針のスワも見たそうだ。ントー・ア率いる黒兵達に至っては、踏みつぶされた奴もいるらしい。

巨躯のマンフ。

ここらは奴の話題で持ちきりだった。奴はその名前の通り馬鹿でかく、何体もいるらしい。
だから、みんな興味を持っている。
僕、赤盾のディーバも例外じゃあない。見たことないけど。
そんなことをグダグダ考えていたら、お腹空いた。ブラム達でも食べに行こうかな。



ムシャムシャ。
ブラムの甘さは何回食べても飽きない。
黄色い色だから食べる気が起きない、とみんなは言う。こんなに美味しいのに。
その時。
目の前の緑に紛れて、手刃のマーテスが隠れていた。
ぐ・・・。
トゲトゲした奴の手に捕らえられたら出られない。でっかい目で見られながら、その強靭な顎まで運ばれる。
「く・・・離せ!化け物!」
しかしそのままお腹を食いちぎられる。
その瞬間、僕は驚いた。
でかい目。目。目。
その巨大な体。そいつらが、こっちをじっと見ている。・・・巨躯のマンフだ。
せいぜい強がってればいいさ、緑の化け物。
今、てめえの後ろには、てめえの何倍も大きなマンフがいるんだ。

ざ・・・まぁ・・・み・・・。



「あー!カマキリさんがテントウムシ食べてる!」
園児が、下のくさむらを見ている。
保母が、言った。
「カマキリ見るの、ここでははじめて?」
「うん!蝶々さんも蟻さんたちも蜂さんも見たけど、カマキリさんははじめて!」
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