探偵ケンジの視界

□探偵ケンジの登場
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待っ、待ってくれ!なぁ、待っ

ゴト。

頭蓋骨が木の床に落ちた。
思うようにこいつが刺さらなかったので残念だけど、それもまあ殺せたなら良い。さて後は・・・。
仕上げをしてたら、視線を感じた。

〈Who killed Cock robin?〉



「イヤアァ!」
森に叫びがこだまする。
眉間を刺された死体を見た女性は、自分でも信じられないほど甲高い声を出していた。恐らく、これが人生で一番高い声だ。
カッと見開いた目。ポマードの様に、髪の毛を固めている赤黒い血。真っ白になった腕には、微妙に崩れたモノクロを演出している。ブラウンの格好良いTシャツも、何故だか不気味に見える。
ドラマと違う、本物の死体。死体。死体。死体。
頭の中で、ドロっとした奇妙な甘苦い味がした。
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