少年陰陽師(短編)
□彼女の秘密
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「……」
頭が痛くなってきた。
一つ鬼のやつなに考えてるんだ!?
帰ったら払ってやろうかと思ったが彰奈が慌ててそれを制した。
「一つ鬼のこと怒らないであげて。ちゃんとした理由は言わなかったけど、あの子浩基を心配してたわ。私に浩基の側にいてやってくれってお願いしてきたの。浩基がお家の都合で苦しんでるから話を聞いてあげてほしいって」
記憶がなくても彰奈はあの頃のように俺を心配してくれた。
いくら視えたとしてもいきなり雑鬼から話しかけられれば徒人は怖がるのに彰奈はそうじゃなく、怖がりもせず雑鬼の言葉を信用し、俺を心配してくれた。
それがなにより嬉しかった。
帰りに礼でお菓子でも買ってやろうとおもったが、ふと思い出すとなぜ彼女は俺が視えることがわかったんだろうか。
「ちょっと待て彰奈。なんで俺だと思ったんだ」
疑問をそのままぶつけると彰奈は目を数回瞬かせ、思い出したかのように言った。
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