少年陰陽師(短編)
□流れ星と約束の人
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俺は幼い頃から不思議な夢を見ていた。
内容は漠然としてるがいつも同じ人が出てくる。
“ 紅蓮 ”
背が高く、キリッとした切れ長の目で優しい笑う人。
そしていつも同じ科白を言うんだ。
『星が流れるときに会いに行く。だから待っていろ』
ふわりと笑う顔とともに目が覚める。
この言葉を信じて何度待ったことか。
今までも何度か星は流れたが会えなかった。
その度に落ち込んだりしたけど、何故か今回は会えるような気がした。
(やっと会える!)
心と魂は歓喜に満ち溢れ、今か今かと待ち焦がれている。
授業が終わるとすぐに学校を飛び出し、目的地はわからないけど走った。
走って走って何度も足が止まりそうになったけど会いたいという気持ちが足を動かした。
空を見上げれば星は輝いていて、今にも流れてきそうだった。
「まだかな…」
夜は少しひんやりとして、冷たくなった手に息を吹き掛けた。
「まったく、お前は相変わらず落ち着きがないな」
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