少年陰陽師(短編)
□騒がしい朝は君のため
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「昌浩を起こすのに一体どれだけ時間がかかるんだ」
呆れながら勾陳が天后を連れて現われた。
「貴方たちまた朝からやってたのね。いい加減やめなさい」
眉を寄せ、天后は三人を叱る。だが紅蓮と青龍は素知らぬ顔だ。
「まったく…それで、昌浩は起きたのか?」
その一言に三人「あ」と声を出し、また誰が起こすかを勾陳と天后の二人も加わり揉めだした。
「…なんの騒ぎだ」
「あら、六合に玄武」
昌浩を起こしに行っている同士たちが一向に戻ってくる気配がないので六合と玄武が遣わされた。
「朝餉が片付かないと姫が困っていたが、これではな」
「毎朝毎朝飽きないのものだ」
寡黙な六合でさえこの現状に一言いいたくなる。玄武に至っては馬鹿馬鹿しく思っている。
「でも昌浩様もこの五月蠅さで起きないのも凄いですね」
ひょっこりと太裳が現われ、楽しそうにクスクス笑っている。
「笑いごとではないだろう。いくら物忌みとはいえ、だらだらと寝かせておくものではないだろう」
嘆息混りに玄武がそう言うと同士たちはぴたりと動きが止まった。
「玄武、今なんと?」
「だからだらだらと寝かせて…」
「違う!その前だ」
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