少年陰陽師(短編)

□彼女の秘密
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「ねえ、浩基って幽霊とか視える?」

学校に来るなり彰奈が突然訪ねてきた。

「なんでそんなこと聞くんだよ」

聞き返すと彰奈が腕を引っ張り、屋上に連れて行かれた。

「私霊感があるみたいで昔からよく視えるの。でも双子の姉の章華は視えないの。それでね、最近一つ鬼っていう子が話しかけてきたの。姫は昔のままだなって。私が姫じゃないって言っても聞いてくれないの」

(一つ鬼のやつ…!)

余計なことをと内心毒づきながら彰奈を見た。

彰奈は転生する前の記憶がない。
それは章華も同じだ。二人は双子で生まれたが、それは彰奈と章華の星が変わったことによる偶然だった。

そのことを二人に教えるつもりはない。
傷ついたり、恐怖を思い出す必要はない。過去の忌まわしいことなど知らない方が幸せだから。


「それで、なんで俺に聞くんだ?」

「一つ鬼がね、孫に聞けばわかるって言うのよ。孫って誰って聞くと晴明のって。私の知り合いに晴明さんなんていないわ。章華にも聞いたけど知らないって」



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