少年陰陽師(短編)
□彼女の秘密
1ページ/3ページ
「ねえ、浩基って幽霊とか視える?」
学校に来るなり彰奈が突然訪ねてきた。
「なんでそんなこと聞くんだよ」
聞き返すと彰奈が腕を引っ張り、屋上に連れて行かれた。
「私霊感があるみたいで昔からよく視えるの。でも双子の姉の章華は視えないの。それでね、最近一つ鬼っていう子が話しかけてきたの。姫は昔のままだなって。私が姫じゃないって言っても聞いてくれないの」
(一つ鬼のやつ…!)
余計なことをと内心毒づきながら彰奈を見た。
彰奈は転生する前の記憶がない。
それは章華も同じだ。二人は双子で生まれたが、それは彰奈と章華の星が変わったことによる偶然だった。
そのことを二人に教えるつもりはない。
傷ついたり、恐怖を思い出す必要はない。過去の忌まわしいことなど知らない方が幸せだから。
「それで、なんで俺に聞くんだ?」
「一つ鬼がね、孫に聞けばわかるって言うのよ。孫って誰って聞くと晴明のって。私の知り合いに晴明さんなんていないわ。章華にも聞いたけど知らないって」
.