少年陰陽師(短編)

□泣かないで
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情けない。

自分があまりに無力すぎて涙が止まらない。

お願い、お願いだから早く目を覚まして…

その瞳に俺を映してよ

お願いだから青龍…!!





















「危ない!!」って言葉と舌打ちが同時に聞こえたと思ったら誰かに突き飛ばされ、俺は倒れていた。

突き飛ばされる前の位置を見れば砂埃が立ち込め、視界を遮ったけどしばらくしたらなくなりそこを見れば青龍が倒れていた。

「せ‥りゅ…青龍ッ!!!!」

慌てて駆け寄ると呼吸がおかしく、体の色が黒くくすんだ色に変わりだしていた。

「青龍!青龍しっかりして!?」

抱き起こし、声を掛けるとうっすらと目を開けてフッと笑った。

「きさ、が…ぶじ、な…い…」

それだけ言い残し、青龍は目を閉じた。

「青龍?青龍ってば?!」

悲鳴に似た声が上がり、俺は何度も青龍の体を揺するけどまったくぴくりともしない。

(俺はなんてことを…!)

「昌浩なにをしてる!敵はまだいるんだぞ!!」

泣きそうになるのを紅蓮が叱咤する。

普段は仲が悪い二人でも同朋がやられたことに紅蓮の目には怒りが宿っていた。

「ヒひヒ…その子供に呪をかけるつもりが十二神将に行ったか。仕方ないがイイ光景だ。ヒひヒ」

卑しい笑い方をあげる妖の言葉に俺は青くなった。

「うそ…」

ぽつりと声が漏れるが紅蓮の出す炎蛇にかき消された。

妖は不気味な声をあげ、紅蓮の炎蛇を飄々とかわし、その場から逃げた。

「クソッ!」

紅蓮は悔しいのか舌打ちをして俺の元へ駆け寄って来た。

「大丈夫か昌浩?」

「俺は、平気…でも青龍が…」

堪えていた涙が溢れそうだった。それを見ていた紅蓮は苦虫を噛み潰したような顔したけどぽんぽんと頭を撫で、青龍を担いだ。

「とにかく早く帰って晴明に診てもらうぞ」

コクリと頷き、車ノ輔の力を借りて急いで邸に帰った。



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