少年陰陽師(短編)
□騒がしい朝は君のため
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夏が過ぎて秋になろうとする頃に安倍邸では真夏のように熱い闘志が燃やされていた。
「俺が昌浩を起こしに行くんだ!」
「なに言ってんのよ!あたしだってば!」
ぎゃあぎゃあと廊下で物の怪姿の騰蛇こと紅蓮と少女の容貌をした太陰が言い争いをしていた。
言い争いの原因はどちらが十二神将の主たる昌浩を起こしに行くかである。
「昨日も騰蛇だったじゃないの!代わりなさいよ」
「嫌だ」
尚も続く言い争いは昌浩の部屋の前まで続けられ、襖に手を掛けようとした瞬間勢いよく開かれた。
「朝からうるさいぞ貴様ら!」
中から現われたのは闘将で昌浩が主になることを最後まで渋っていた青龍だ。
「青龍!?」
「なんでお前がいるんだ」
キッと夕焼け色の瞳が青龍を睨む。それを真っ向から受け止め、青龍は見下ろした。
「俺がどこに居ようと貴様には関係あるまい」
「なんだと!」
白い物の姿から本性に戻り今にも殴りかからん勢いだ。
元々相性の悪い二人は主が変わってもそれは健在で、顔を合わせばこうなる。
そこへ
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