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□雨降り屋敷 T
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「ヤバいな、雨降ってきた…」


とある郊外の山奥。
一人の男が、掌を上に向けて空を見上げていた。

彼が気にしている雨足は徐々に強くなるばかりで、一向に治まる気配はない。


「何処か、雨宿り出来る場所探さないと…」


辺りを見回していると、ふと前方に、大きな屋敷が見えた。

あそこなら、と小さく呟いた男は、小走りで屋敷へ向かった。




その頃、男が見つけた屋敷では…。


「おい、モイチにモサク。朝からイチャつくな」
「「いいじゃん別に!」」


モイチ、モサクと呼ばれた双子の青年は、同時にそう言った。
双子特有のハモりで注意した青年に言うと、互いに抱き合ったりし始めた。

注意した彼には見慣れたことだが、彼等双子は、それ以上の関係なのである。


「樹も、早く相手見つければ?」
「それを出来ないようにしたのは、お前等だろ!?」


樹、と呼ばれた青年は、モサクの言葉に怒りの声を上げた。

子供のように逃げる二人を追い掛けようとした時、広い屋敷に玄関のチャイムの音が響いた。


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