本棚T
□どうすればいい?
1ページ/2ページ
『誰にも言わないで下さい』
吉男に言われたことを考えていたけど、俺だけ知ってていいことじゃない。
だけど、あんなに真剣な吉男を見るのは初めてだから、どうすればいいのか分からなかった。
「樹、どうした?」
「あ、いや…その……」
吉男のことで頭が一杯で、犬マンの声に気付かなかった。
犬マンには、話しても…。
いや、やっぱり駄目だ。
「何でもない」
「何か、あったのか?」
俯いている俺の顔を覗き込んだ犬マンは、心配そうな目をしていた。
この目には、弱いんだ…。
この目を見ると、何でも話してしまいそうになる…。
「犬マン。もし、もしもだけど…」
「うん」
「大事な仲間が、何処か…例えば心臓が悪くて、でも元気に振る舞ってるとしたら、どうする?」
「樹…?」
「例えば、だよ」
そう言えば、犬マンは顎に手を当てて考え始めた。
例えばとか言ったけど、本当のことだ。
勘のいい犬マンだったら、下手したら気付くかもしれないな…。
「心臓だったら発作が起きて大変だけど、そのままでいいんじゃないかな」
「え…?」
「誰にも言うなとか、言われたんだろ?」
「ッ…!」
優しそうに微笑む犬マンに、殆ど全てを知られたのかもしれないと思った。
_