古キョン
□涼宮ハルヒという存在、それが。
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幸せを願うことが
そんなにいけないことですか。
平凡に彼と
愛し愛されたいだけなのに。
幸せを願う事は
こんなに罪なことなのか。
俺はただこいつと
一緒にいたいだけなのに。
*涼宮ハルヒと言う存在、それが。
「遠くに行けたらどんなにいいことでしょう」
「あ、もちろんあなたと二人きりで」
部室、いつものポジション。
目の前にはやりかけのオセロ。
この状況で古泉はそんなことを言い出した。
「なんだ、この状況に不満か」
あくまで目線はオセロだったが俺がそう尋ねると、古泉はええ、と返答した。
「あなたは不満ではないのですか?」
「残念ながらな」
「僕と恋人になれないこの世界が?」
「……古泉」
その話は止めろ、という意味を込めて古泉を睨むと、古泉は苦笑いを浮かべてやっとオセロに目を向けた。
パチ、と駒がおかれる。
「俺はお前と恋人になる気は毛頭ない」
「でもあなた、僕のこと好きでしょう」
「ああ、夢で犯されて悦ぶくらい好きだぜ」
「ならどうして」
ああ古泉、その話は止めろよ。
なんて伝わるわけもなかったんだよな、うん、すまん。
おれはオセロの駒を置きながらあくまで興味なさげに呟いた。
「さあ」
「ああ、もしかして」
古泉はこういうときだけ鋭い。
忌々しい。
だがそういうところが好きなんだよな。俺は朝比奈さんが淹れてくれていたお茶を飲む。
「あなた、世界を守ろうと?」
「………」
当り前だろうが。
俺がハルヒの機嫌を取っていればこの世界が安泰、なんて言われちゃ俺はずっとハルヒを気に掛けるに決まってるじゃないか。
俺はオセロの碁盤をじっとみつめた。
「キョン君はそんなこと考えなくてもいいんですよ」
「ふざけんな。普通は普通なりに頑張ってんの」
「だから頑張らなくても」
「お前が俺のために世界を守ってくれてるんだ、俺だってお前の為に守りたい」
「……………」
古泉が黙ってしまったのでふと顔をあげると、古泉の眼から涙がこぼれていた。
「ねえキョン君」
「ん?」
「なんで僕たち、普通に愛し合えないんでしょうか」
俺に聞くなよ。
そう言いたかったのだが、あいにくと俺も泣いていたため言葉にすることができなかった。
「お、お前、がさ…っ超能力者じゃなくなればっさ、あ…いいのにな、…っ」
「そう、そうです、ね…はは、普通、じゃないのに、普通を望んでも、は、ははは」
仕方ないんだよ俺たちは。
普通じゃないのだから。
普通の恋愛ができるはずもないんだ。
「そ、れでもキョン君」
「ん、」
「僕は、普通じゃなくても、っ人間なんです」
知ってるよ馬鹿。
だから、泣いてるんだろうが。
愛し愛されたいだけなのに。
End
ーあとがきー
両思いなのに愛せない。
このCPは本当にギャグもシリアスもかきやすいですね。
(感動するかどうかは別にして)
…文才欲しいな