短編

□理屈なんて無意味
1ページ/1ページ


あ〜ヤバい。
落ちた。
何にって。
──恋に。









理屈なんて無意味







あ〜なんだ、恋ってのはホントに落ちるものらしい。
気が付いたら、寝ても覚めてもあいつのことだ。
突然。そう突然。
なんの前触れもなく。
キタ。キてしまった。
だいたい、あんなのの何がいいんだ。
煩いし、馬鹿だし、抜けてるし、無鉄砲だし──。
そのクセたまに、妙に冷静な物言いしたり。
エラそうに説教始めたり。
すっげェ懐いてきて、しょっちゅうメールしてくるかと思えば、何時間も返事が返ってこなくなるし。

「どうしたの、土方?」

「…うあ?」

ほらな。
こういう、心臓に悪い現れ方するしな。

「…なんか、眉間にすっごい皺寄ってたけど」

なんだよ、その顔。
なに、心配そうな顔してんだよ。
それも、心臓に悪ィ。
いちいち、跳ね上がる。

「俺は元からこういう顔なんだよ。悪かったな」

「あ〜!」

納得すんな!
俺はそんなに小難しい顔ばっかしてんのか?

「だから、ときどき笑うと可愛いんだ」




…──あ〜…心臓に悪ィ。
こんな奴の何がいいんだ。










イタい土方。[2008.04.03]


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ