短編
□理屈なんて無意味
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あ〜ヤバい。
落ちた。
何にって。
──恋に。
理屈なんて無意味
あ〜なんだ、恋ってのはホントに落ちるものらしい。
気が付いたら、寝ても覚めてもあいつのことだ。
突然。そう突然。
なんの前触れもなく。
キタ。キてしまった。
だいたい、あんなのの何がいいんだ。
煩いし、馬鹿だし、抜けてるし、無鉄砲だし──。
そのクセたまに、妙に冷静な物言いしたり。
エラそうに説教始めたり。
すっげェ懐いてきて、しょっちゅうメールしてくるかと思えば、何時間も返事が返ってこなくなるし。
「どうしたの、土方?」
「…うあ?」
ほらな。
こういう、心臓に悪い現れ方するしな。
「…なんか、眉間にすっごい皺寄ってたけど」
なんだよ、その顔。
なに、心配そうな顔してんだよ。
それも、心臓に悪ィ。
いちいち、跳ね上がる。
「俺は元からこういう顔なんだよ。悪かったな」
「あ〜!」
納得すんな!
俺はそんなに小難しい顔ばっかしてんのか?
「だから、ときどき笑うと可愛いんだ」
…──あ〜…心臓に悪ィ。
こんな奴の何がいいんだ。
イタい土方。[2008.04.03]