本棚・弐
□夏は夜。
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「………家では、昔からギロロの仕事でね。」
「ひでぇ兄貴」
「クルルこそ。いきなりの呼び出しからまさかアレと見合いさせられた私の身にも…っ?」
クルルがガルルの腕をぎゅっと握りながら背に隠れる。
「ガルル!飛ぶって…!」
「っ!!」
見るとモニター中央でソレが広げた羽を誇示するように黒光りさせて、
二人に向かって飛んできたのだ。
「〜っ………!!」
ガルルは咄嗟に殺虫剤をソレに向けるが、背中のクルルに引っ張られ狙いがずれる。
「クルルっ」
「ぅ…っわマジっ、無理!!」
「っと…っ!くっつくのは、後で」
「誰がくっつくか!!」
「えぇ!?」
言い合いながら逃げたら、先程まで二人の居た扉に貼り付きしきりに触覚を動かす黒。
「…嘲笑われてる気がするな」
「早く退治してくれよ、有り得ねェって…」
ソレが憎たらしい表情をしている気がするのは気のせいではないと思う。
…被害妄想だが、ソレははっきりこちらを認識していてるしたり顔で、小馬鹿にしているようだった。
「まったく…。終わったら褒美はクルルを頂こうか」
「アンタだってビビってるくせに」