本棚・弐
□みどりの温度
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「…見事な阿呆面だなぁ」
「…じ、自慢の阿呆面であります!」
「くっく…どこが」
「……我輩はー…、
この顔で、クルルと会ったから」
クルルの唇が動きを止めた。
目の前の頬がうすらと赤らんだのは気のせいじゃないと思い、ケロロはクルルの首筋に顔を埋めた。
「アンタは時々死ぬ程クセェ」
「お風呂毎日入ってるもん」
「ガキかよ、自分で言っといて照れやがって」
「照れてないし」
「耳真っ赤だぜェ〜」
「真っ赤じゃないでありますぅ」
「くくっ!あー下んね、下らな過ぎて」
ギュ、と頭にクルルの手が回って抱き締められる。
「眠いなァ…」
「…私の中でお眠りなさい」
「…ツッコまないぜェ…」
降りてくる瞼で定まらない焦点の中、クルルは視界一杯の緑を見た。
確かに、癒しに近いそれは心地よく眼の奥に滲む。
しかし何より、この存在自体がそうであるのだとクルルは沈む意識の中思った。
ケロロは控えめにクルルの背に手を回して息を吐く。
共有する温度が馴染んでいくのがじんわりと分かって、その温度を少し羨ましく思いながら、ケロロも瞼を下ろした。
→後書