本棚・弐
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両手を挙げて、争いの意思がないことを示す。
にっこりと心の底から笑みを浮かべるが、流石に若者達の警戒は解けない。
皆一様にゴーグルやバンダナで顔を隠しつつ、大佐から視線が逸れることはなかった。
「はっ」
馬鹿にしたような笑いが耳に入った。
あのアフロの少年だ。
「女王様、ってか。結論から言えば今は無理だな。」
「おや…今は、っていうと?」
「オイオイオイオイおっさん。
そっちの身元は?証明出来るもん出しな。
ぶっちゃ毛怪し過ぎるんだけど?」
銃口が目前に迫る。引金には指が掛けられたままだ。
「あ。これはうっかり
おじさん、ケロン軍で大佐やらせてもらってます」
にっこり。
再度素敵な笑顔を浮かべたら、周囲に更に怪訝な顔をされた。
「…嘘つくなや」
「嘘!…酷いなあ」
「弱そうだし人徳なさそうだし」
「何て言われようだろうこれは…」
牽制ととられない為、階級章は上着の内ポケットに入れていた。
「ええとね、確かここに…」
キュンッ!!
耳を掠めて光線が容赦なく背後に落ちていた棒きれを焼いた。
あれはレーザー銃だったかと感心して細い煙を靡かせる銃口を横目に見た。