本棚・弐
□深雪御伽
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ふわりと辺りの雪が舞い上がりケロロを覆ったと思えば、次の瞬間そこに居たのは白い着物を纏った少女であった。
「ごごごっ…ごめんなさい!!」
深々と頭を下げる少女の膝まである白髪が揺れる。
涙目で謝罪を繰り返した。
「っわたし、雪娘見習いでっ、人間のことたぶらかさなきゃ…一人前になれなくてっ」
ハア、と溜息に弁解を遮られて少女が言葉を切る。
「んなこたどうでもいい、隊長は?」
詰め寄られる剣幕に身を固くする。
「ぁ……あの…っ」
「…隊長に何かあったら、ガキでも許せる自信ねぇなぁ…」
零下の世界に生きてきた雪娘。
それなのに、今聞いている声の凍るような響きに震えが走った。
「なあに、ちっさい子いじめてんでありますか、クルル。」
突然背後から掛けられた声。
肩で息をする影。
凍えながらも温かい、これは、これが、隊長…。
「フイ〜、さっびー!!」
「何…っ!なんで!?わたしあなたのこと絶対、」
「チミ可愛い顔して意外とえげつないでありますな!正直我輩死んだかと思ったモン」
言いながら渋い表情で火に当たる雪塗れの彼を見つめて、少女は動揺し、クルルは険しい目。