本棚・弐
□深雪御伽
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火が燃え上がると、洞窟の中が明るく照らし出された。そう深くもないそこは洞穴と言った方が近いような雰囲気だ。
クルルは厚いフードを脱いで、凍る前髪を直す。
ケロロは何か気になるのか、奥の暗い所をうろついていた。
「……何してんだ、アンタ」
「ッゲロ!?いや…危険はないかと思ってでありますなぁ〜」
「………」
「……?」
「こっち来て、火、当たれば?」
「や、それよりクルル!ちょっと。」
ちょいちょい、と手招きされて押し黙るクルル。二人の間に沈黙が落ちる。
「……どったの?」
ケロロが首を傾げるのを見ながら、クルルは眼鏡の位置を直した。
「…いや、」
重い腰を上げて、ケロロの傍に近寄る。
嬉しそうに優しく笑うケロロが手を伸ばしてクルルを抱き留めた。
「…ゲロ?」
厚い服の上からも分かる、確かな金属の硬さ。
クルルが小銃をケロロの脇腹に押し当てていた。
「っ…クルル、何し」
「五月蝿ぇよ。誰だアンタ」
赤い視線には不穏な棘。
「わ…我輩は」
「その喋り方止めないと風穴開ける」
「……わたっ私は…」