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□近距離恋愛志願。
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「水害」

「一緒」

クルルの素っ気ない言葉に、睦実の嬉々とした声。

「…症状」

「うなじ」

首の辺りに視線を感じるが、クルルは振り向かない。

「事故」

「こ…。恋人。」

痛い程の視線、ちらと睦実を伺って。

「蜥蜴」

「限界」

「異才」

「…意地っ張り。」

「林檎」

「極上。」

「嘘吐き」

「キス」

耳元で、囁かれた単語。

知らず狭まった距離に、クルルは少し目を見開いて。睦実は笑みを。

「すんな。」

「舐めるならいい?」

「良いわけねぇだろうが」

「…我慢出来ない」

額を寄せて間近で真っすぐに目を合わせられれば、クルルは視線を直ぐさま彷徨わせて。

「嫌…だって…馬鹿、」

「可愛すぎ…クルル、好きだよ…。」

「よく、んな恥ずかしい台詞吐けるよなぁ…」

「愛の力って奴?」

「付き合いきれねぇぜ…」

唇を寄せられ、目を閉じて接吻を受ける。
睦実は目を開けたままで、クルルの震える睫毛を見遣った。

触れるだけの口付けを二、三度繰り返して離れ際に頬を合わせて。

「絶対、俺のこと振り向かせるから。」

と、明るい口調で告げた。
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