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□Worst Kiss・LEVEL100
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…トイレと言う場所だ。腹でも痛いのだろうが、…もし、病気か何かの発作等で助けも呼べずに苦しんでいるのだとしたら…。
通り過ぎようとしていた足が止まった。嫌な予想に、思わず中を覗いて声を掛けていた。
「…どうか、したのか?」
一番奥の個室が閉まっている。
そこからは少し荒い呼吸を感じた。
「具合でも悪いのか?誰か人を…」
「は…違っ、気にす……っぅぐ!」
男の声の後に、ガタンッと何かが壁にぶつかる音がして、いよいよマズイのかと俺は焦った。
「すまん、開けるぞ!」
中の男が制止の声を上げた時には、俺は施錠された戸を勢いよく、力任せにこじ開けていた。
「だぃ………っ!?」
『丈夫か、』とは続かなかった。
想像していた光景とはあまりにも、掛け離れた現実に、俺は目を点にした。
個室の中では、便座に座って急いで前をしまう多分中年前の男。
その正面には床に膝を付き、手を白濁で汚れさせた、若そうな金髪の後ろ姿。
これは、つまり。
…!?
俺が二人を前に、呆然としていると、中年前の男が情けない声を上げ、俺の横を逃げるように通り抜けた。
「おい、待…」
「待てよ、オッサン」