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□真譚・ニンギョヒメ
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ギロロがベッドから起き上がろうとすると、右腕が痛んで上体がふらついた。
ドロロが咄嗟に支えて、起き上がるのを手伝う。
流石に嵐の海に投げ出された身体は、流木やら岩場やらで傷ついていたようだ。
しかしそれも綺麗に布や包帯で手当てされていて、思わず目の前の娘に感心した。
『もうそろそろ、目を覚ます頃かと思ってたところでござる。少し待ってて。』
素早く書き残してドロロはギロロの居るベッドを離れて行った。
その後ろ姿を眺めてから、ギロロは改めて辺りを見回す。
少し失礼だが本当に簡素な家だ。
ドロロと言う娘も何処か変わった雰囲気を持っている。
しかし、あの青…見覚えがあるような…?
娘はすぐに盆を持って戻って来た。
その上で湯気を立てる玉子粥が、ギロロに空腹を思い出させて、思わず唾を飲み込む。
ドロロは彼の膝の上に盆を置いて、何かスケッチブックに書き始めた。
ギロロがそれを見届けることなく一口、粥を口に運んだ。
「……っつ!」
ドロロが驚いて顔を上げる。
書きかけのスケッチブックには『熱いから気をつけて』とあって、ギロロは恥ずかしそうな表情、ドロロは心配そうに首を傾げた。