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□新譚・ニンギョヒメ
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深い深い、海の底。
それはそれは……まあ、人並みな容姿の人魚姫、ケロロがおったそうな〜…
新譚・ニンギョヒメ
ある晩。
海底でガンプラを作っていると、突然の嵐。
「ゲロゲロ!海上は荒れていようとも、海の中は静かなモンでありますなぁ〜」
その頃海上では、王子様ギロロの誕生日を祝う船上パーティーが行われていた。
「くっ…すごい嵐だな…!船を引き返した方が得策なんじゃないのか…!?」
あまりの激しさに、甲板に出て様子を伺っていたギロロが進言する。船の揺れも酷くなってきたようだ。
「…わわっ、そのようですぅ〜!今からすぐ進路を変え……っ!?」
若い臣下のタママが、船乗りに伝えに行こうとしたその瞬間、
船が、大きく揺れ、傾いた。
「なっ…」
「…王子っ!!!」
ギロロの体が海へと投げ出される。タママが手を伸ばしたが、無情にもギロロはうねる波に呑まれてしまった。
流石に体力に自信のあるギロロとて、こんなに激しい嵐の海を、陸までの長い距離泳ぎきれるはずがない。
……俺も、此処までか……
霞みゆく思考、薄れゆく意識。
ギロロは海の底へと沈んで行った。
ーーーゴンッ