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□涙色ヰヱロウ
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ー966side
正直、ホントに辛くて痛い時がある。
分かるか?
原因は、アンタだよ。
ソファベッドに転がって、布団を被る。もう一度溜息を吐こうとして、意図的に止めた。
『泣いてなかった?』
隊長に聞かれた時は、内心焦った。
泣いてなんかねぇよ。
でも、
確かに、
泣きそうだった。
ケロン軍の本部に居た頃よりはまだマシだが、最近、またこういうのが増えた気がする。
便所だとかシャワールームだとか、四方を壁に囲まれた狭い場所に篭ると、安心する。
自分が独りだと確認して、目を閉じる。
静かに、呼吸を調える。
『俺は、俺だろ。』
声に出してみると激しく自己嫌悪の念に襲われた。
隊長といると、たまに嫌と言う程俺らしく居られない時がある。
あー…気持ちワリィ。
俺じゃない、知らない、お前なんか。
でも所詮、嫌おうが要らなかろうが俺なもんで。
消化不良の自己矛盾に胸やけがした。
会いたい、会いたくない
甘えたい、近づけたくない
触れたい、触れられたくない
俺は、俺で居たいだけなのに。
「…クルル、寝ちゃった?」
…隊長、まだ居たのかよ。