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□君、時々、姫君
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振り向いた姿勢のままのクルルに、挑発的に笑んで見せる。
「…試食したい、ってか?」
クルルも負けじと不敵な笑みを返す。自分にはない素直さで、コクリと頷かれた。
そっと、クルルに手が伸ばされ…、
彼に触れようとした手の甲が思い切り抓られた。
「っ痛ぇ〜…!!」
手を引っ込め、抗議しようと顔を上げた睦実に、クルルは踏ん反り返って向き直る。
「俺を蛙なんて地球の下等な小動物と一緒にするなんざ、愛が足んねぇぜぇ、623ぃ?
俺様は、ガマ星雲第58番惑星・宇宙侵攻軍特殊先行工作部隊作戦通信参謀。クルル曹長様だってーの。」
一息に滑舌良く言い、ニヤリ、としてやったりの表情。
畜生、んなそそる顔で笑うなこのドSめ。(睦実ビジョン)
「はぁ〜…。ケロンのままの方が押し倒し易かったかな〜」
「変態。」
「愛が故でございます、クルル女王様。」
地球人の長い脚で、臑を蹴られた。
我が儘で傲慢で。
横暴で少し乱暴な。
俺の姫君の白い指先に謝罪の接吻を。
舐めたら、鶏肉の味はしなかったけど。
代わりに「ばぁか」という笑い声と頬を抓られるという特典が付いて来た。
→あとがき