本棚

□演習場にて。
2ページ/5ページ

腹に響く銃声。
立ち上る硝煙。
アンタの横顔。


演習場にて。


日向家地下基地内演習場。
ふう、と一息ついてギロロが耳宛てを外す。
的を見れば中心部に多数の穴。全弾命中してはいるが。

少し、鈍っているか…?

ギロロは自分の手に納まる銃を睨む。

パチパチ…

背後から聞こえた拍手に、自然と表情が強張った。

「…クルルか」

「相変わらずいい腕だなぁ、オッサン」

ヒク。

「誰がオッサンだ」

クルルが愉し気に肩を揺らしているのなんか、見なくても分かる。


「……何か用か?」

「用…ねぇ。あったんだが忘れちまったなぁ〜。」

「なら帰れ」

「オッサン見てたら興奮したもんで。」


………また、おかしなことを…。

振り向いた俺の顔にそう書いてあったのか、クルルが笑みを深める。

「そりゃぁ、アンタは知らねぇだろうがなぁ。
オッサンの、演習中とか戦場での眼…俺はゾクゾクするぜぇ?」


白衣を翻しながらクルルは近付いてくる。

「相変わらず悪趣味だな」

「分かんない奴らが悪趣味なんスよ。」

目の前で止まったクルルが、赤い瞳を覗かせる。


「シようぜ、先輩。」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ