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□演習場にて。
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腹に響く銃声。
立ち上る硝煙。
アンタの横顔。
演習場にて。
日向家地下基地内演習場。
ふう、と一息ついてギロロが耳宛てを外す。
的を見れば中心部に多数の穴。全弾命中してはいるが。
少し、鈍っているか…?
ギロロは自分の手に納まる銃を睨む。
パチパチ…
背後から聞こえた拍手に、自然と表情が強張った。
「…クルルか」
「相変わらずいい腕だなぁ、オッサン」
ヒク。
「誰がオッサンだ」
クルルが愉し気に肩を揺らしているのなんか、見なくても分かる。
「……何か用か?」
「用…ねぇ。あったんだが忘れちまったなぁ〜。」
「なら帰れ」
「オッサン見てたら興奮したもんで。」
………また、おかしなことを…。
振り向いた俺の顔にそう書いてあったのか、クルルが笑みを深める。
「そりゃぁ、アンタは知らねぇだろうがなぁ。
オッサンの、演習中とか戦場での眼…俺はゾクゾクするぜぇ?」
白衣を翻しながらクルルは近付いてくる。
「相変わらず悪趣味だな」
「分かんない奴らが悪趣味なんスよ。」
目の前で止まったクルルが、赤い瞳を覗かせる。
「シようぜ、先輩。」