本棚

□ハナサナイデ。
3ページ/4ページ

「…ゲロ?」

カチリ、赤い視線と目が合った。

冷や汗がタラリと流れる。

(なんで、何もないこのタイミングで目を覚ましちゃうかなぁ?)

「…んだ、隊長、かよ…」

まだ覚醒しきっていない様子で、もぞもぞとケロロの胸に顔を埋める。

「…隊長かよ、って何か失敬でありますなぁ…」

苦笑しながら言うとクルルは

「……夢かと、おもったぜぇ…」

呟く。

「夢じゃないよ〜?」

「………」

「………」

「…たいちょー…?」

「何でありますか?」


バッ!!

あの緩いクルルが驚きのスピードで、ケロロから距離を取った。

見る見る顔が赤く染まってゆく。

「……俺、…アンタに何かしたかい?」

「いや、特には…服の裾、掴まれてたくらいでありますか?」

別段どうってこともないのに、クルルは真っ赤になり顔を隠す。

「…ワリ、隊長忘れて。」

そう言ってクルルはラボから出ていく。

(忘れて、なんて。記憶の操作くらいお手のモノなくせに。)


「離しちゃった…。」

ケロロは自分の手を眺める。

金の髪白い手赤い眼赤い顔。

「忘れるなんて無理っしょ。」


だってホラ、
君はこんなにも我輩の心を捕えて、
ハナサナイデイルカラ。





→後書き…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ