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□ハナサナイデ。
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とにかく、ラボの奥にある小さな部屋のソファベッドにでも運んでやろう。
と、抱き上げるためにクルルの上半身を起こした、その時。
「…………く…」
ケロロは心臓を吐き出すくらい驚いた。
ケロロの腕の中で、身じろぎをするクルル。
(動かしたら、絶対起きる。この状況、起きたら何言われるか分かったもんじゃないであります!!)
ケロロは固まったまま、思案した。
ケロロの肩に頭を預け、静かに上下する胸。
(あ、…綺麗な鎖骨でありますなぁ。
って、そんなことじゃなくって!
………まぁ、いっか。)
そもそも、床が硬くて冷たいだろうからと思ったのだ。この体勢なら、多少の柔らかさと温もりが獲られる。
(つまりは現状維持に徹するべし、でありますか)
結論を出して長期戦を覚悟したケロロが、ふと感じた違和感。
視線を落とすと、控えめに、本当に控えめに、クルルの指がケロロの服の裾を掴む、というより摘んでいるのが見えた。
ケロロの口許が思わず綻ぶ。
(…布団役の我輩に、これくらいならご褒美くれてもいいよね?)
その手を見ながら、クルルの頭に頬ずりをする。
鮮やかな金色が、香った。
ーパチッ