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□お願いだから。
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隊長だとか俺だとか管理人だとか(!)、諸事情により。俺たちは現在、地球人サイズな訳だ。
お願いだから
オフホワイトのシャツにだるく白黒チェックのネクタイ。その上には大分でかめのカーデガン。少し緩めのズボンはベルトで止めて。一見シンプルだが、装飾の凝った、気に入ってるシルバーのリングを嵌める。
特にあてもなくぶらぶらと秋葉原を歩き回るクルル。
彼にとって秋葉原は、地球という原始の惑星に見つけたオアシスである。
チカチカ目に悪い電気街特有のネオン。
他国では多少値が張るような、電子部品も床に平積みにされ売られる様。
この街に訪れる人の中に何となくある、一体感のようなもの。
これらが引きこもりのクルルの足でさえ、この場所に向かわせる要因である。
ただし、今日はこのオアシスで落ち着かなさそうな雰囲気。
「…何、ついて来てんだよ。」
自分の2、3歩後ろを、悠々と歩いてついて来る男を振り返る。
ガルル中尉。
190cm弱の長身に相応しい、すらりと伸びた長い手足。紫色の長髪は一本の三つ編みにして垂らしている。金の眼はそこらを歩く女たちの心を射止めるのに、充分な鋭さだ。