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□満月とロマンチスト。
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「ケロンの最先端テクノロジーに携わる第一人者が、乙でありますな〜」
「科学者なんか、たいてい馬鹿がつくロマンチストなんだぜぇ」
「えぇ〜?普通逆じゃん?頭固くてさ、ロマンチストとか馬鹿にするような」
「理想論を語るだけなら、餓鬼でも阿呆でも出来んだろ?それこそ隊長にだって出来る。」
「アレ?今我輩馬鹿にされた?」
「理想を現実に変える為に、出来るかどうかも分かんねぇモンを毎日毎日馬鹿みたいに、試行錯誤すんだぜ?
人生を賭けたロマン馬鹿だぜぇ〜。」
「はー。そんなモンでありますかぁ〜」
「…あー失敗した。こんないい夜に喋り過ぎだぜぇ…」
「聞いてて愉しいでありますよ♪」
「……ん。」
「手ー伸ばしたら、お月様に届きそうでありますなー」
そう言ってケロロは、ふと手を金色に触れさせる。
クルルの、髪の一房。
「……隊長、酔ってんスか?」
「何が?」
「何が…って」
両手でその髪をサラサラと弄り、クルルと視線を絡ませた。
髪の束の先端に、唇を落とす。
「………!!」
クルルが、びくりと肩を揺らす。
ケロロの瞳の中の星が、瞬いた様に見えた。