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□移りにけりな
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「………は?」
身構えた自分が少し恥ずかしかった。
そういえば、クルルを見たのは何日ぶりだったか。
「3…いや4日前、か?」
確かそうだ。4日前にラボで、「ちっとめんどくせぇ仕事があんだよ…」と怠そうにしていたのを思い出す。
もしかしたら、その時から寝ていないのかもしれない。クルルなら、有り得る。
「まったく…」
手先は器用な癖に、不器用な男だ。
春先の雨は少し冷える。
俺は立ち上がり、日向家の中へ。
熱い茶とタオルケットを縁側に持ち出す。
俺はもう少し、コイツの隣でサクラを見ているとしよう。
何せ、今日限りの見頃らしいからな。
→後書き