本棚・弐

□電波日和!
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あと、四十三分の我慢。
四時間目・古典。


電波日和!


(暇で仕方ないんだよね…、)

授業が始まってまだ数分。
睦実はシャーペンの後ろで机を叩いて、ぼんやりと開いた教科書を眺めた。

薄毛の自虐ネタに一部の女子から笑いをとっていた教師が、やっと勉強を始める気になって黒板に向かう。
黒板に書かれた『土佐日記』の文字とページ数に、前に来た時と全然違うページだと気付き笑った。

首を傾げて机に突っ伏しながら教科書を閉じる。
完全に授業を聞く気を失った。
自分と同じ体勢のクラスメイトが何人も窓硝子に映っている。

(…クルル、今頃何してんのかな。)

睦実は机の下に足をそっと投げ出しながら、愛しい宇宙人に想いを巡らせることにした。

(こんな天気いいのにあのラボにいるのかな…あぁ、地球侵略の為の会議とかもしてるんだっけ?
…どっちみち横柄に細い脚を組み変えながら女王様よろしく厭味に笑ってるんだろ。)

分厚い眼鏡の奥の長い睫毛を思い出した。
綺麗な紅瞳を縁取るに相応しいそれは、瞬きの度に目に留まる。

(微笑んだりしたら可愛いだろうな…。でも微笑まれたら嬉しいけど正直恐い…。)
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