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□不意に愛を
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答えなど期待するものじゃない、解ってはいた筈なのに
不意に愛を
「クルルは私のこと、どう思っているんだ?」
「…あ?」
一瞬の間が空いてから何が、と笑って聞き返されると思わず言葉に詰まった。
ただ話題も無かったから、適当な質問をしたかっただけなのにふと零れたのは本音であった。
「どう…思ってる、ねえ?」
クルルはガルルの腹の底を探るような眼で窺う。
平静を装う。綺麗な顔は眉一つ動かさない。
「ククッ、…何緊張してんスか?」
「……フ、」
貴方はいつも鋭い。私は時折、困ってしまう。
今は上手く笑えているのだろうか…?
「……アンタは」
クルルが軽く私を見上げる。その眼はいつだって一片の嘘もなくて、虚構の世界で満ちていた。
「俺のこと、どう思ってんスか?」
試すでもなく、誤魔化すでもなくただ問い返す貴方は酷い人だと思う。
「…言ったら厭うくせに」
「まあな。」
「貴方を、愛している。」
「……ぅわ、痛すぎて痺れそう」
「ほら…だから言っただろう?」
笑いながら貴方から眼を逸らす。
そう言う貴方の唇に私の方が簡単に痺れるのを知っているくせに。