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□アイの居場所
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「クルル、愛が何処に在るか知ってる?」
アイの居場所
「興味ね」
鼻を鳴らして答えるクルルに睦実はニコリと。
「ナゾナゾだよ、分かんないの?しょうがないなぁ、クルル正解はね」
自分そっちのけで構われるノートパソコンを勝手に畳んで、クルルの口が開く前にまくし立てて。
「H、の後にあるの。」
テーブル越しに身を乗り出して一瞬の口付け。
「…地球公用語ね。だから?」
キスなどものともしない挑発的な視線に睦実が応える。
「エッチさせてよ。愛が産まれるかもしんないじゃん?」
「くくっ悲惨な頭だなぁ〜、もっと高尚な解答ねぇのかい?」
「男子高生の脳内からコレとったら何も残んないじゃん。」
「甚だ馬鹿だなお前。
……そうだなぁ。愛は、」
睦実が少し驚いた顔で口を噤む。
…あのクルルが、愛を語っちゃう気だよ…
「愛は叡知の後に在る。」
「…は?」
「地球の一宗教家の夢想か、いやこいつも低俗っちゃあそうだな。クックッ…」
…それは、アダムとエヴァ。
楽園に過ごす彼らを追いやったのは、誘惑の蛇と叡知の実と、
開けた世界に育まれてしまった愛。