本棚
□Intelligent Animal
1ページ/6ページ
しとしと、シトシト、
降り続く柔らかな雨。
梅雨前線、到来。
Intelligent Animal
ドロロが日向家の天井からひょっこり顔を覗かせる。
静まり返るリビングには、いつもの賑やかな面々の代わりに気怠げにソファに腰掛ける影が一つ。
ドロロが音もなく着地すると、影が振り向く。
「失礼致す、クルル殿」
挨拶をしても、クルルは無言で元の体勢に戻るだけだった。
「…隊長殿たちは、どうなされたのでござるか?」
辺りを見回しながら聞くとさも面倒臭いと言いた気な声で、
「隊長が『あの頃』に戻ったのを言い訳に、西澤桃華が日向家と他の奴ら連れて南の島のプライベートビーチだと。」
湿度が低い南の島なら、ケロロも『あの頃』から帰ってくるだろう。
というのはあくまで口実。
恋する乙女には『あの頃ケロロ』でさえ意中の彼と接近しうるチャンスとなるのだ。
「…先輩、何で居んの?
東谷小雪も行ったぜェ?」
「え!?小雪殿も…!?僕何も聞いて…」
トラウマスイッチが入りかけたドロロだが、昨夜の小雪との会話を思い出した。
小雪が改まって、
「最近どう?」
なんて曖昧な質問を投げ掛けて来たのだ。