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□指先にチェリー
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繋いだ手にくちづけを。
優しく乱暴に、歯を立てて。
指先にチェリー
乱れた金色をかき上げ、しどけない視線を寄越す彼に、ドロロは優しげに目を細める。
「お早う、クルル殿」
「…アンタ、何してんだよ?」
常を取り戻したキツイ赤がじっとその手元を見詰めた。
「…や、その……クルル殿の手が気になり申したのでござる。」
クルルの寝起きの力無い指に、ドロロの指が絡められている。
まるで、壊れ物に触れるような柔らかさで握られた指に、何ともむず痒い気分にさせられる。
「……ムカつくなあ、昨日はあんなに俺に触んの拒否ったクセに。」
クルルは自然な動作で触れ合う指を引き、残る温もりを散らすよう、ヒラヒラと手を振った。
「…それは。
具合の悪い御仁には流石に手を出せないでござる故。」
言いながら、ドロロの手がクルルの首に当てられる。
「まだ、少し熱がござる。…痛む所はない?」
「特に。強いて言やアンタにふられたショックで、胸が痛いッス。」
「それは元気そうで何より…されど、そのような冗談は好かないでござる。」
「冗談?失礼しちゃうねぇ」