本棚
□だからアンタは
1ページ/6ページ
それは、突然の事件。
正に青天の霹靂。
クルルが、言葉を失った。
だからアンタは
言葉を失った、とはこの場合「愕然とした」というような比喩ではない。
「言語を、話せなくなった」が正しいらしい。
敵性宇宙人の仕業ではない。クルルは自らを診断・分析し、そうケロロ達にPC上で告げた。
「えっ…と、とりあえず他、身体は大丈夫?何ともないんでありますか、クルル?」
『別に〜』
カタタタッと素早く指をキーボードに滑らせ、肩を竦めて見せる。
「まったく…。しかし原因は判らんままなのだろう?…いや、お前のことだ、見当くらいはついているのか?」
『ま、適当には。』
ギロロの問いにもクルルは同じように答え、少し渋い顔をした。
「何なんですぅ?」
テーブルを挟んだ向かいで大して心配していなさそうなのはタママ。
クルルが溜息をついて、答えを言い淀む様子を見せる。
隊員たちの間に、緊張が静寂をもたらす。
「……精神的なこと、でござるか?」
ドロロが重く口を開くと、皆の目線がそちらに注がれた。
感心ではなく、
『居たのか…』
という視線にドロロはハラハラと涙を零した。