小説

□A wish to peace
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A wish to peace 1

どういったいきさつか・・・話すのも笑えるほどに簡単にしかも早く僕たちのデビューは決まったんだよね。それは本当に些細なきっかけで始まったアイドルとしての生活だったのだけど、いつも君が側にいるということを感じられるのが本当に幸福だと思ったんだ。



「わぁ・・・あと1時間でライブ始まるよ〜」
「き、緊張してきたっ」
「それは今に始まった事じゃないだろう」

キラが嬉しそうに楽屋でうろうろと動き回っている。シンは青い顔をしながら手に持っているギターを握りしめているし、それに突っ込みを入れるレイもまたドラムのスティックを握りしめていた。

「アスランまだかなぁ?」

最終点検をしにグループのリーダーとして皆で決めたのはアスランだから、大まかな確認をアスランにお願いして自分たちは早々に楽屋に引っ込んでちょっとした練習をしていた。本当は皆居なくてはいけなかったのだが・・・五月蝿くて「話にならない!」と、アスランに追い出されてしまったりして。簡単に言うと、別に居てもいなくても問題がないと判断されたらしい。

「そんなに時間かかるんですかね?」
「最終チェックだからな」

ラクスやミリアリア、ルナマリアやメイリンに捕まってここはどーのこーのと言われまくっているのは確かだと思う。しかし・・・それにしてもいい加減戻ってきてもいいと思う。さすがに小1時間軽く過ぎているのだから。と、キラが扉を開けて外の様子を見ようと顔を出した時・・・
廊下からものすごい声。

「ですから!!」
「無理だといっている」
「こちらに降りて来て下さいと、言っているだけでしょう?」
「合わせて間もないのに、そんな余計な事までこなせる器用な奴とでも思っているんですか?」
「っっ」

ラクスとアスランの声が響いていた。周りにはルナマリアもメイリンも立っている。そこにキラは何?と、気になってそっちに走っていけば

「キラ!!」
「う、うん?」

ラクスが真っ先にキラに気付いて何か訴えてくる。アスランがわからずやで何も聞いてくれないとかなんとか・・・

「え?何を??」
「俺達に客席に下りてきてほしいらしい」
「出来るんじゃない?」
「レイはドラムで動けないし、シンはあの様だ」
「・・・・無理かもね」

キラはアスランに助けを求めるべく聞いてみればアスランの不機嫌な声と共に答えが返ってくる。それに軽くキラが答えると一瞬にしてラクス達は嬉しそうに笑ったが・・・アスランの一言によってあっさりとキラは考えを覆して言った。それにラクスがなんでですの?!!と、言うと。

「だって、シンはすごいぎりぎりで仕上がって今だってガチガチに緊張してるし・・・もし降りたとしても僕達三人でレイが残ってるのって、変じゃない?それなら無理だと思うし」

キラの言葉は正確に的を獲ていて、さすがに反撃が出来ないと思ったら・・・・

「アスランとキラの二人だけの曲なら降りれるんじゃありません?!」

ラクスが思いもしなかった事を言い出した。まさに今思いついた。って、感じのものだった。が・・・それなら大丈夫だよね?と、キラがアスランに聞けばアスランはあっさりと頷いた。

「それなら大丈夫だと思いますよ」
「まぁ、よかった。」

それでラクスが笑って、納得すればラクスたちはいなくなった。去り際に入れ違いで衣装係と称する人たちが沢山楽屋に入ってきた。全部ラクスが考えた衣装らしい・・・


そう、そんな時間があって本番は迎えられた。

プラントのために歌う曲。世界の平和のために歌う曲。

平和のアイドルとしてのデビューの一幕。



続く
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