小説
□何気ない日常
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何気ない日常
「アスラーン!!」
桜が散る街道を見上げながら歩いていると少し先から声があがる。その声は可愛い女の子かと思っていたけど実は男の子で・・・ついさっきの入学式で知り合ったばかりの・・・キラ・ヤマトという子だった。
「早く早く!!」
嬉しそうに満面に笑みを浮かべて先を走っていた。そんなに嬉しいのか?と、聞きたくなるほど笑っていたから・・・こっちまで笑ってしまう。
「そんなに焦ったって家は逃げないだろ?」
早く帰っても別に・・・と、言えばキラは可愛らしくぷくっと頬を膨らませてこっちを睨む。
「だって、お母さんにお友達が出来たよって言いたいんだもん」
拗ねているその顔がまた可愛らしいと、思ってしまう。本当に男か?と、最初は思ったほど。そしてさっき言ったことを思い出す。
『キラ・ヤマト・さん・・?って、僕の隣の家の人じゃない?』
そう言って、自己紹介をすればキラは本当に嬉しそうに笑って
『アスラン君??』
と、手を握ってきた。本当に嬉しそうに。逆にこっちは本気で吃驚して心臓がどきどきしたけど、女の子みたいだったし可愛かったから。その後すぐにお母さんたちはいつの間にか話してて仲良くなってて先に帰ってしまって・・・自分達が友達になったということを伝えていなかったりしたのだ。だから、早く母親に言いたいのだろう。