物置部屋
□独占欲
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生首のチェシャ猫が誰にも見えないと知ってからはだいたいいつも部屋のどこかに転がっている。
でも…
「ただーいまー」
私が部屋に一歩入ると
「おかえりアリス」
「っきゃぁ〜!!」
チェシャ猫の生首が跳び上がって目の前に来た。部屋の扉を開いた瞬間に生首が目の前にあるのだ」しかも眼前から30センチもないところに…
近い!私は思わず叫んでしまっていた。そしてびっくりした拍子にそのまま後ろに尻餅をついてしまう。
「どうしたんだいアリス?」
「な、なんでもないわっ」
私は床の上に転がっているチェシャ猫を見て言った。流石に怖かったとは言えない…まだ心臓がバクバクいってる。
すると遠くからどたどたと慌ただしい足音が近づいてきた。
「亜莉子っ!」
「…へ?」
叔父さんは床に尻餅をついた私をみて慌てて近寄ってきた。
「どうしたんだ、今…」
叫んだろ?と、叔父さんが言った。どうやら私の叫び声に驚いて何事かと慌てて来たらしい。
「あ…な、なんでもない。ただ転んだだけなの」
私は冷や汗をかきながら答える。猫の生首を見て驚いたなんて…言えない。
続くよ