06/30の日記

23:02
恋禁―Aliis si licet, tibi non licet. ―
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時々夢を見る。
あの街灯、闇の中から覇弥を見下ろしていた、あの日の夢を。
しかし決まって、ラストは改竄されているのだ。
まるで、人形を持つような感覚が腕に絡まっている。
あの月の下、覇弥の体は冷たく、重い。
そして虚ろな、ガラスの瞳が、俺を写して言うのだ。
「いいのよ。」
俺は、恐ろしくて、覇弥の体を重力に任せてしまう。
人形のような覇弥は薄ら笑いを浮かべながら、落ちていった。
『よくない。』
俺が君を殺すなど、あってはならない。
俺は君を愛してる。
俺は君を、締め付けることはできても、絞め殺すようなことはできないのだ。
体の一部のような、君を。

(たとえ他人に許されても、 あなた自身には許されない)

いっそ、本当に君を体の一部にしてしまえばいいだろうか。
「シューリッヒ、どうしたの?」
『ん…?
いや、なんでも。』
「そ…、実はアナタにまだ、思っても口にできないことがあったんだけれど。」
『へ?なに、今になって。』
「アナタを体の一部にしたい。」
『へ?』
「でも、今思えば、そうしなくて正解ね。」
『な、なんで?』
「だって、こうして抱き合うことも、妬くこともできないじゃない。」

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