08/13の日記

00:44
さて、今日はどんな世界を創造しようか。
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「シュリ、ちょっと出るわ。」
『出るって何処へ?』
ある日、覇弥が血相を変えて俺の横を通りすぎていった。
黒いトレンチコートを靡かせて、真っ黒なレースのリボンで髪を縛っている。
『ストップ、覇弥。何処に行く気だ?』
手を引いて覇弥の動きを止めると、その顔は蒼白で、とても外に出せる顔じゃなかった。
兎に角、俺は覇弥を抱き上げ、逃げられないようにした。
「シューリッヒ、遊びじゃないわ、降ろして頂戴。」
抵抗はしないものの、覇弥のは責めるような視線を向けてくる。
『恐い顔してる、そんな奴を外には出せない。』
そう俺が言い終わるか終わらないかで、覇弥の掌が俺の頬を打った。
すぱんっと小気味良い音がして、俺の左頬にじわりと鈍い痛みが走る。
「つまらないわ、シューリッヒ。
早く降ろして頂戴。」
彼女は静かにいった。
『……わかった、でも俺も着いていく。』
彼女をゆっくり下ろし、彼女の髪をひとつに束ねていたレースをほどく。恐ろしい顔が黒い髪で隠れて、少しマシになった。
「………好きになさい。」
『うん』
彼女はそっぽを向くと、俺に似せて作ったという黒い翼を羽ばたかせ、凄い旋風を巻き上げながら、飛び立った。

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