Secret Kingdom
□ラビ
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キキィと、一人下校中の私のまえに、物々しい車が停車した。
軍用のようにゴツくて、なんだかとても良い予感はしかなかった。
案の定、目の前で車の扉が開け放たれ、私は抵抗するまもなく車の中に引き込まれた。
「易々と拉致成功じゃん♪逆に不安だわ。」
引き込んだのは女の人だった。何となく安心する。
「ようこそ、いろいろあるけど寛いで。」
取り合えず、拉致られた手前突っ込むべき場所には突っ込みをいれてみた。
「だ、誰なんですか、貴方たち。」
満面の、ヒマワリのような笑みを浮かべ、女の人は言った。
「明石です。」
…
「いや、そうじゃなくて。」
突っ込みしがいある人だ。
「あ、え、えぇっと。」
明石さんは肘で運転手をつつく。どうやら確認をとっているらしい。前日のうちに用意しておいて貰いたかった。切実に。
「私たちは秘密結社超能力研究機関『ラビ』今日はアナタを…ようはスカウトしにきたの。」
明石さんは眩しい笑みを浮かべた。
「むっちゃあやしいですね、帰りたいです。」
「だめだめぇ帰っちゃあ。」
ぷうっと明石さんは頬を膨らませる。
「何でもいいわ、取り合えず座っちゃって。」
私を椅子に座るよう促し、自分も近くのソファーに座る。
と言うか、促された先の椅子が個性的である。
無機質な車内に似合わない真っ白なデザイン、触り心地はふんわりと、まるでメレンゲを触るような感じだ。
座ると、仄かに温かく。私はじんわり沈んでいった。
「そのまま、寛いで。」
明石さんは、優しくそう言って笑う。眩しくて、私は目を瞑った。