向日が神妙な顔で私のことを見るので、なぁに?と聞いた。
「お前…そんなんだったっけ…お前こないだまでこんなのなかったじゃん…」
「は?」
何の事かさっぱり解らなくて、頭にクエスチョンマークを浮かべて向日を見ると、向日の手が私に向かって恐る恐る伸びた。
効果音が出るならば、むにっとでもいうのだろうか。
向日の左手は私の胸を捕らえていた。
「何してんのアンタ!!」
「うわぁ…すげーな柔らかい」
あまりにもキラキラとした顔で触ってくるので、もうワケが分からない。
私の胸は向日の新しいオモチャではない。
「そりゃ私も胸くらいおっきくなりますわ…」
「幼稚舎の頃はこんなのなかったじゃん」
「当たり前だよ、そんな小学生いたらこわいよ」
呆れ顔で向日を見ると、さっきまで左手だけだった手が右手も私の胸を捕らえようとしていたので、その手を弾く。
「コラコラ…人が黙ってるからってそんなに遊ぶな」
「だってお前のものは俺のものだろ?」
何天然ジャイアン発言してるのこの人は…。
向日はたまに跡部を超える発言することがあるからこわい。
「私は向日のものになった覚えはありません」
「だって、幼稚舎のはじめの頃中学生になったら私の彼氏になってねってお前言ったじゃん」
「え、何私たち付き合ってたの」
「お前忘れてんの?」
「うん」
おわり。