企画用
□柳沢
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「あああああああああああああ!」
部室に入って、柳沢を見た瞬間思わず叫んでしまった。
「な、なんだーね…入ってきて早々…」
「やな、ぎさわ!なんで!アンタは!」
悲しみに撃ちひしがれながら、私は柳沢の目の前に座った。
「なんで、リップくらい!塗らないのおおおおお!あぁ…可愛い唇が…元祖アヒル口が…」
最近ちょっと乾燥しているので、心配していたけどやっぱりだった。
柳沢のアヒル口がガサガサで、もう…私は泣きたい。
こんなにきれいな唇なのに!
「誰がアヒルだーね!?」
「柳沢しかいないでしょー?!何なのもう!動かないで!」
私はポケットに入れていたリップを取りだし、キャップを開けた。
ちょっと離れたとこに座っているガーガー喚く柳沢の唇めがけて、リップを塗ろうと身を乗り出すと、柳沢が何故か嫌がった。
「別に平気だーね!気にすることないだーね!」
「やだ!私が気になるの!」
椅子を立ち上がり、左手で柳沢の顔を押さえた。
柳沢はやめろー!と言いながら腕を突き出して抵抗してくる。
「ちょっとだけでしょ!」
「切れてるわけじゃないから大丈夫だーね!」
「なんでそう変なとこ頑固なのよー!」
私も負けじと柳沢に近付くと、柳沢の座ってる椅子が後ろに倒れてしまった。
派手な音が部室に響く。
「うわっ」
柳沢は痛そうだけど、頭はぶつけなかったようで。
床に転げ落ちた。
私はというと、柳沢に馬乗り状態だ。
アヒル乗り?
柳沢の顔がボッと赤くなったので、ケラケラ笑うとその赤い顔のまま怒って私を殴った。ひどい。
「でも、これでやりやすくなったね〜」
私は無事だったリップを柳沢の唇に塗った。
きゃーみずみずしくて、可愛い唇に元通り!
「お前女の子じゃなかったらセクハラで訴えてるだーね…」
「やだなー柳沢くんったら。そういうときはありがとうって、素直に言ってよ〜」
私はふふふと笑いながら、頬を膨らませてぷんすかしている柳沢から体を退けた。
「リップくらい自分で塗れるだーね」
「そんなに可愛い顔で唇尖らせて…もう!可愛い!ちゅーしちゃうよ?」
私がニヤッと笑うと柳沢はまた赤くなったので、ほんとに食ってやろうかと思った。
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