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□子どもを拾いました
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―――カグツチ 最下層
誰も立ち入らない最下層に黒く蠢く塊がある。
『アラクネ』
これがその名前である。
そして、一応賞金首だ。
「ワ 、求 。強 生命 を。蒼、蒼、蒼!」
今日も強い生命力を得るために、カカ族の集落へ向かう。
だが、その途中に暗く淀んだ下水道に似つかわしくない姿があった。
「…ヒック、うぅ、ふぇ…」
子どもである。
「 んだ、コ ツは。脆弱 命力。 らない。 レは、求 る!蒼を!生 力を!キヒ、キヒヒヒヒ」
「…………………」
再びロストタウンに向かおうとすると、気持ち悪いアラクネの体を躊躇いなく子どもが掴む。
もう先ほどのような泣き顔は無く、輝かんばかりの笑顔を浮かべている。
「おじさん、僕を拾ってくれるの?」
「キ マ、離 ! せ!ワレ、 サマを拒 する。消え !」
「でもおじさん、さっき言ったよ?『ワレは求める!蒼を!』って。僕の名前は『アオ』だよ。てゆうか おじさん、よく僕の名前が分かったね。エスパー?すごいなぁ」
すごい勢いで拒絶するアラクネと、それでも着いてくる子どものアオ。
「んー。拾ってくれたんだから、おじさんはよくないよね。パパ?パパって呼ぶね!」
「知 ない。消 ろ! えろ!」
アラクネの体が液状に溶け、排水溝へと消える。
「あ、パパ!待ってよ!」
アオがアラクネを呼ぶが、無視して突き進んでいく。